ある男 平野啓一郎
マチネ同様に知り合いにこんな人がいたよ
みたいな書き方からスタートします。
まだ2冊しか読んでないけど毎回こんな書きかたなのかな。
今回は本屋大賞第5位の本ということでワクワクしながら読みました。
自分の結婚した相手の名前が戸籍交換で実はまったく違う人であった
という始まりには新しさを感じました。
戸籍交換が実際にありそうだということ。
名前を消して違う人になろうとする人の気持ち(犯罪者、後継ぎ問題、在日○○世)
が合わさってこの物語が生まれています。
名前は記号でしかないけれどもその記号のもつ意味の重さについて考える機会になったと思います。
この物語の登場人物たちは最終的に誰も幸せになったという結末になっていません。
(どれも中途半端な感じ)
だからこそ読者の想像する余地があるのではと感じました。
私は、弁護士の家族の行く末が気になりました。